ヒト骨髄幹細胞

ヒト幹細胞は、体内のさまざまな組織や器官を構成する細胞に分化する能力を持つ細胞のことを指します。細胞の基となる細胞とも言われる、これらの幹細胞は、再生医療や化粧品の分野で非常に注目されており、その種類や特性によって様々な用途で利用されています。

ヒト幹細胞の種類を理解し、それぞれの特性や効果を知ることで、自分の肌のニーズに合った化粧品やスキンケアを選ぶ手助けとなります。

■ヒト幹細胞の種類と特性

1. 胚性幹細胞 (ES細胞)

【特徴】
胚性幹細胞は、受精卵が数日経った段階での胚から取得される細胞です。これらの細胞は全ての細胞に分化する能力を持つとされ、多能性幹細胞とも呼ばれます。

【再生医療での利用】
胚性幹細胞の高い分化能力を活かし、病気や損傷した組織・器官の修復や再生を目指す研究が進められています。例えば、糖尿病や心筋梗塞の治療に向けた研究が行われています。
※受精卵を用いるため、倫理的な問題があり、あまり使用されていません。

【化粧品での利用】
倫理的な問題や安全性の懸念から、胚性幹細胞を直接使用する化粧品は市販されていません。

2. 間葉系幹細胞 (MSC)

【特徴】
間葉系幹細胞は、体性幹細胞の一種で成人の体内に存在する幹細胞です。骨髄や脂肪組織から取得される細胞で、骨や軟骨、筋肉などの特定の組織や器官の細胞に分化する能力を持っています。
採取する場所によって、脂肪組織由来幹細胞、皮膚由来幹細胞、歯髄由来幹細胞、臍帯由来幹細胞、骨髄由来幹細胞などがあります。

【再生医療での利用】
間葉系幹細胞は、患者自身の体から取得することができるため、拒絶反応のリスクが低いとされます。関節の損傷や、臓器の修復、皮膚の再生治療など、多くの治療法で利用されています。
それぞれの幹細胞の特徴によって、その治癒力や回復力が異なります。またそれぞれの幹細胞は入手元や採取方法、さらには培養手順が異なるため、効果性や市場への流通量も全くことなります。

【化粧品での利用】
間葉系幹細胞から得られるエキスや成分が、肌の再生や修復をサポートする成分として化粧品に配合されています。
それぞれの幹細胞の効果性と市場流通性が異なるため、その多くは脂肪組織由来幹細胞が使われています。

3.IPS細胞

【特徴】
iPS細胞(Induced Pluripotent Stem Cells)は、成人の体から採取した韓細胞(例: 皮膚幹細胞)に、特定の遺伝子を導入することで、胚性幹細胞と同様の多能性を持つ細胞に「再プログラム」する技術で作られる幹細胞のことです。2006年に京都大学の山中伸弥教授らによって初めて報告され、再生医療の分野での革命的な発見として話題になりました。

【再生医療での利用】
患者自身の細胞からiPS細胞を作成し、必要な組織や器官の細胞に分化させて、患者に移植することで、拒絶反応のリスクを低減する治療が期待されています。本格的な幅広い実用にはまだ暫く時間がかかるようです。

【化粧品での利用】
iPS細胞から得られる成分やエキスが、肌の再生やハリ、弾力の向上をサポートする成分として化粧品に配合されることが研究されています。本格的な幅広い実用にはまだ暫く時間がかかるようです。

■ヒト幹細胞の主流は間葉系幹細胞

間葉系幹細胞は、その採取元によってそれぞれ異なる特徴を持ちながらも、再生医療や研究の分野で、非常に価値のある細胞として利用されている理由は、以下の特性や利点に起因しています。

【多様な分化能力】
間葉系幹細胞は、骨細胞、軟骨細胞、筋肉細胞、脂肪細胞など、さまざまな細胞タイプに分化(変身)する能力を持っています。この特性は、損傷した組織や器官の修復・再生に役立てられます。

【免疫調節作用】
間葉系幹細胞は、免疫応答を抑制する能力を持ち、移植時の拒絶反応を低減する可能性があります。これは、移植治療や自己免疫疾患の治療において有利です。
主に骨髄由来幹細胞が適していると言われています。

【豊富な取得源】
間葉系幹細胞は、骨髄、脂肪組織、臍帯血、歯髄など、多様な組織から取得することができます。これにより、患者自身からの採取や、適切な供給源の確保が容易になります。

【低い腫瘍形成リスク】
これまでの研究では、間葉系幹細胞が体内で無制御に増殖するリスクは低いとされています。これは、再生医療において安全性を確保する上で重要な要因です。

【培養の容易さ】
間葉系幹細胞は、in vitro(試験管内)での培養や拡張が比較的容易であり、大量に増やすことができます。これにより、治療に必要な細胞数を確保することが可能です。
市場流通性に優れる「脂肪組織由来幹細胞」
修復能力に優れている「骨髄由来幹細胞」など、その種類によって特徴が異なります。

【研究の進展】
間葉系幹細胞に関する研究は急速に進展しており、その機能や応用に関する知識が日々増えています。これにより、より効果的で安全な治療法の開発が進められています。

■間葉系幹細胞の種類と特徴

1. 骨髄由来間葉系幹細胞 (Bone Marrow-derived MSCs)

ヒト骨髄由来幹細胞

【特徴】
骨髄由来は、間葉系幹細胞の研究で最も古くから知られている由来の一つです。
幹細胞の基となる細胞として骨髄液に発現。
生きている人間からの採取が必須となる。

【利点】
成熟した細胞への分化能力が高い。再生力、治癒力が高い。
世界で多くの疾患の臨床試験が行われており、脂肪由来との比較では、骨・軟骨形成や有用なタンパク質の分泌において優位に働くことがわかりました。

【欠点】
骨髄からの採取が困難。取得できる数が少ないため、高い培養技術が必要。

2. 脂肪組織由来の間葉系幹細胞 (Adipose-derived MSCs)

ヒト脂肪由来幹細胞

【特徴】
脂肪吸引によって容易に大量の細胞を取得することができる。

【利点】
採取が比較的簡単で、多量の細胞を得られる。流通性が高く、製造コストが低いため、再生医療や美容分野で広く利用されている。

【欠点】
分化能力や機能に関する研究がまだ十分ではない。高い効果が期待できない。

3. 臍帯血由来の間葉系幹細胞 (Umbilical Cord Blood-derived MSCs)

ヒト臍帯由来幹細胞

【特徴】
出生時に得られる臍帯血から間葉系幹細胞を取得する。

【利点】
医療廃棄物から採取できる。妊婦(比較的に若い)の細胞であるため質が良い。

【欠点】
臍帯血から得られる細胞の数が限られている。製造コストが高い。

4. 歯髄由来の間葉系幹細胞 (Dental Pulp-derived MSCs)

【特徴】
抜歯時などに得られる歯の中の組織、歯髄から取得する。

【利点】
抜歯後の廃棄物から採取でき、神経細胞への分化能力が高い。

【欠点】
特定の条件下でしか取得できない。

■ソワプレは“骨髄”幹細胞培養上清液を採用

ソワプレ美容液は主成分に「骨髄由来幹細胞」から抽出した培養上清液(SakuraStem BM-1)を処方しています。
この「骨髄由来幹細胞・培養上清液(SakuraStem BM-1)」は再生医療で用いられる「20代の若い健康体の骨髄由来幹細胞」の培養時に得られる希少な培養上清液から派生した化粧品原料です。
一般的な化粧品原料は、大量製造大量販売の形で流通していますが、このSakuraStem BM-1は一つひとつ丁寧に培養した再生医療用の骨髄幹細胞に由来しているため、少量製造タイプの希少な化粧品原料となっています。
ヒト骨髄由来幹細胞順化培養液(SakuraStem BM-1)

今回はここまで。
次回は「幹細胞と幹細胞培養上清液」の違いをお届けします。

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