幹細胞と細胞の違い

近年、アンチエイジング効果をもつ成分として美容クリニックのメニューや、化粧品の中で「幹細胞」という言葉をよく耳にするようになりました。でも、なんとなく分かるようで分からない?「幹細胞」ってそもそも「普通の細胞」とどう違うの?そんな素朴な疑問にお答えするべく、今回は似て非なる「幹細胞」と「細胞」の違いについてご紹介します。

■「幹細胞」とは「細胞の基となる細胞」のこと!

わたしたちのカラダは約60兆個、200種類以上もの「細胞」が集まってできている集合体です。そしてカラダの中には、組織や臓器を持っていて、それらを構成している細胞は機能に応じて役割が決まっています。

ひとつひとつの細胞には固有の寿命があり、絶えず入れ替わり続けながら、その組織や臓器を保っています。その失われた細胞を再び生み出して補充する能力を持った「特殊な細胞」が存在します。この特殊な細胞のことを「幹細胞」といいます。決まった役割を持たずに、様々な「細胞」へと変化することから、「細胞の基(もと)となる細胞」とも呼ばれています。

「幹細胞」は変化の過程で「分化」し、それぞれの幹細胞が自分の役割に見合う形や機能を身につけながら、筋肉なら筋肉の細胞、神経なら神経の細胞というように役割を持った「細胞」へと変化し、その細胞として増殖・分化を続け、組織や臓器を構成する細胞群の一部となり、特定の役割を果たしていきます。

■細胞と幹細胞とは「役割」と「変身能力」の違い

「役割の違い」

「細胞」
生物の基本的な構成要素。体の様々な組織や機能を担当。
例:筋肉細胞は体を動かす役割、神経細胞は情報を伝える役割、胃腸細胞は栄養を消化する役割を持っている。

「幹細胞」
「細胞の基となる細胞」として特殊な細胞であり、自分自身を複製(自己複製)しながら異なるタイプの細胞に分化(変化・変身)する能力を持っている。つまり、「幹細胞」は他のさまざまな種類の細胞を生み出すことができることから、「万能な細胞」「再生を促す細胞」とも言われる。

「変身能力の違い」

「細胞」
一度特定の機能を授かると、その機能に特化して働きます。
例えば、筋肉細胞は筋肉を収縮させる機能に特化して働きます。

「幹細胞」
自己複製(細胞分裂により自分の同じ幹細胞を増やすこと)をする一方で、様々なタイプの細胞に分化(変化・変身)することができます。
例えば、骨髄間葉系幹細胞は、時間経過と共に脂肪幹細胞、臍帯幹細胞、歯髄幹細胞、軟骨幹細胞、骨幹細胞など、さまざまな幹細胞に分化します。最終的に、これらの組織幹細胞が組織細胞に分化し、それぞれの組織や臓器が維持されます。
この「自己複製」と「分化」が幹細胞の特徴であり、この2つの能力がからだの修復や再生、アンチエイジングに重要な役割を担っています。

■傷が治るのも「幹細胞」のおかげだった!

例えば、子供がおでこをすりむいてしまった場合、そこに傷ができますよね。このとき、からだのなかの「幹細胞」が傷の場所に移動して、新しい皮膚細胞を作りだし続けます。すると時間が経つにつれて、いつしか傷が治っていきます。これを自然治癒力といいます。

このように、「幹細胞」はわたしたちが怪我をしたときや病気にかかったときに、新鮮な新しい細胞を作り出すことができます。つまり幹細胞は傷ついた部位を修復したり、病気の細胞を取り替えたりする治癒力の源であり、からだの中をパトロールしながら、からだの恒常性のバランスを維持するために日夜働きつづけています。

■不老長寿の鍵も「幹細胞」だったんだ!

不老長寿の鍵-その1:「幹細胞」のすごい組織修復能力!

「幹細胞」はすでにお話ししたように、からだの組織や臓器の修復に大きく関わる能力を持っていますが、わたしたちが不老長寿を勝ち取るためには、そもそもからだの組織や臓器が「正常に機能し続けること」が絶対条件となります。

それを司るからだの機能こそが「幹細胞」の仕事です。幹細胞はわたしたちの人生のなかで、不意に損傷を受けてしまう組織を修復したり、細胞の更新を行うことで、からだの健康を常に維持しようと働いています。

つまり、不老長寿(健康寿命を延ばす)のためには、元気な「幹細胞」が体内に豊富に存在し、組織修復能力が常に高いレベルで保たれている状態でなければなりません。

不老長寿の鍵-その2:「幹細胞」のすごい免疫能力!

当然ですが、免疫力はわたしたちの体を病気や感染から守るための重要な役割ですが、これも「幹細胞」が司令塔となって免疫系の細胞の生成を司っています。

「幹細胞」が正常に機能し、免疫系の細胞を生成することで、病原体や異常な細胞に対する防御機能が維持されます。一般的に老化は免疫機能の低下を引き起こします。

不老長寿(健康寿命を延ばす)のためには、強力な免疫システムの維持が必要です。そのためにも、ほとばしるような「幹細胞」が体に常に備わっている状態をキープすることが重要です。

不老長寿の鍵-その3:「幹細胞」のすごいアンチエイジング力!

最後に、「幹細胞」は組織の老化を防ぐ役割も担っています。残念ながら、一般的には年齢とともに組織や臓器の機能は低下し続け、老化が進行していきます。しかし組織の修復や再生に大きく関与する幹細胞をコントロールすることで、老化の進行を抑制できる可能性があります。

活発に働く「幹細胞」をより多く体内で発現させることで、実年齢よりも若々しい組織や臓器、そして、見た目の若々しさも維持することが可能となります。つまり、若さの基となる幹細胞に注力した老化予防、アンチエイジング対策によって、不老長寿(元気で長生き)の人生を手にすることが可能となります。

今回はここまで。

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